写真展閲覧記録(でも個人的なこと)

桐島が講師を務めている写真教室PhotoCafeの企画合同展の作品ミーティング課外授業で東京都写真美術館へ行ってきました。
東京都写真美術館(略称:都写美http://www.syabi.com/)で見てきた展示は2つ。
「自然の鉛筆 技法と表現 平成24年度東京都写真美術館コレクション展」と、「世界報道写真展2012」です。

まず見たのは3Fの「技法と表現」展(2012年7月14日 ( 土 ) 〜 9月17日 ( 月・祝 ))。現在のフィルム写真のプリントに至るまでの様々な写真の「プリント方法」を歴史を追って展示したものです。
カメラを使わず直接フィルムに焼き付ける方法から、卵の白身を使った紙に焼く方法まで。
本当にさまざまな写真のプリント方法を見て来ました。
プリントしたあとに、筆で黒を付けてゆく方法など、なかなか斬新です。
「これ、写真なんだ。絵みたい!」と、何度も声を聞きました。

写真は「カメラで写すもの」というのが現代の一般的な認識ですが、
本来写真は「光で写すもの」です。

どうやって、光を形として残すか。
187年前の昔から今日に至るまで。
短い歴史の中でいろんな技法を工夫して人は、光を形として残してきました。

デジタルカメラが一般に普及してきたのもここ20年そこそこですからね。
カメラって、とても新しい文化だと思います。

そして、「撮る」事も大切ですが、表現としての現像、そしてプリントすることの大切さを改めて実感しました。
印画紙(プリント用紙)の選択一つをとっても、個性が出ますからね。

デジタルカメラになって、撮影した写真はパソコンの中に入りっぱなし。という方も多くなってしまったと思います。
でも、プリントして、自分自身の手の中に「物質」として残す事は、それはそれで意味がきちんとあるんじゃないかと。
そんな風に思った展示でした。
 

 もう一つの展示は「世界報道写真展2012」(2012年6月9日 ( 土 ) 〜 8月5日 ( 日 ) )。
こちらは報道写真というジャンルの写真です。
いわゆる現場の写真。今世界で起こっている事の記録写真です。
新聞に載る写真、雑誌に載る写真など。
報道、とはニュース。という意味なので事件性やメッセージ性が強い写真です。なので、センセーショナルなものやショッキングなものも含まれており、苦手な方もいるジャンルだと思います。
あえて、それでもPhotoCafeで合同展参加者のみんなに見て欲しかった意図としては「隣人の事件は、隣人の日常である」ことを見て欲しかったから、です。

僕は報道写真が苦手でした。戦争映画も観れませんでした。
理由は、「怖かった」からです。それ以上でも以下でもありませんでした。
人が人を憎んだり、理不尽な扱いを受ける事、一方的な暴力的な行為を見る事が、怖かったんです。
それが、とある写真家の写真展をきっかけに意識が変わりました。
2009年に見たセバスチャン=サルガド(Sebastião Salgado)氏の写真展「アフリカ 〜生きとし生けるものの未来へ〜」からです。
なので、本当に最近の話し。
とある写真がきっかけで、考え方や見方が180℃変わりました。

サルガド氏の写真で「サヘルの飢餓・エチオピアのティグレ地方からスーダンへの集団移住、エチオピア、1985年」という写真があるのですが、この写真はとても有名な写真で検索などで出てくるものなのですが。
エチオピア内戦で、戦闘機からの機関銃攻撃を避けるために夜の闇に紛れて歩き続けてきた人々を撮影したものです。
言葉だけでは、とても残酷で凄惨な状況なはずなのに、この写真を見た瞬間、魂を奪われたような、衝撃でした。

ものすごく、美しいんです。

光が、影が、神様がいるなら、今この瞬間に降りてきているような。
宗教的な、美しさです。

残酷で凄惨な中の美を追求したわけではなく。

サルガド氏は善悪の狭間で揺れながらも、宗教的(キリスト教的)な審判を閲覧者の心の中に求めるような、表現をします。

彼の写真は美しいです。
アフリカの写真(しかも人間の、モノクロで戦争もの)を初めてしっかり見ました。本当に凄惨なものもたくさんありました。
でも、みていくうちに疑問が沸いてきたんですよね。

あれ?この人たちって、なんで戦争(内戦)してんの? と。

国対国の戦争にも勿論多大な問題があります。ひとえにくくることは決して出来ませんし、全てを理解しているわけでもないのですが。
今まで歴史の教科書でしか知らなかった「アフリカの内戦」という事実に初めて疑問を抱きました。
貧しいから?国がたくさんあるから?
でも、彼の撮影する人たちは全員悲しい顔をしている。
平和だった時代の写真は本当にうれしそう。
じゃぁ、この争いは、誰が望んで、誰が起こしたのか?

僕は、わからなかったです。

そこから、戦争や内戦に目が向きました。
サルガド氏について調べてゆくうちに彼が「国境なき医師団(MSF)」(http://www.msf.or.jp/)のメンバーであること。
世界には内戦や紛争や戦争によって、悲しんでいる人が本当にたくさんいること。
知識や文字としてしか認識していなかった現実を、僕はサルガド氏の写真で現実の、隣人の事として突きつけられました。

地球の反対側で起きている事。
でも、その人達にとっては、「日常」であること。

僕の日常はどうだろう。
自分は何を生み、何を残しているだろう?

自分の為じゃなくて。
自分以外のものの、ために。
家族友人知人とかではなく。
もっと広い意味での、繋がりの為に。
自分自身の行動が全ての繋がりの端になっていること。

そう、考えました。
初めて、そういう事を考えました。


そこから、少しづつ。
少しの事をしています。


自分の生活をまず、しっかりすること。
これは、自分にはすごく難しくて。
毎食きちんと食べる事や、毎日仕事にきちんと行く事や、病気をしないように気を付ける事や、目的や目標を持って進む事など。
そういう事を、きちんとやりきる事は難しいです。

でも、それは出来て当たり前の事で、
それをもうちょっと煮詰めてゆくと、出来る事が増えてくる気がします。

本当に、小さな事かもしれないけれど。
フェアトレードのものを選ぶことからはじめることや、
世界のニュースに関心を寄せることや、
植物の声に耳を傾けることなど。

意味の無い事、と言われてしまうような些末な事が、
世界の、末端だと思います。

その末端を意識しないと、世界は変えられない。
僕は、そう思うようにしています。

僕一人で世界情勢を動かす事は出来ないけれど、
僕の生活のリズムをしっかりすることで、植物に水をあげることが出来る。
そんな小さなことから、しっかり目を向けて。

鎖になって一生繋がっているDNAの欠片みたいな輪のひとかけを。
大事にしてゆきたいな、と。思うようになりました。


報道写真展で、見た行った事の無い国の知らない人が泣き叫んでいる写真や、密猟者に殺された動物や、岩肌で餌を探す白熊や、小学生の年齢で結婚させられた少女や、孤島で起きた殺戮などなど。

これらの「知らない世界」は、「当事者の日常」です。
僕の日常の末端の、延長だと、思うのです。

今回の展示には東日本大震災の写真もたくさん展示されていました。
生きている間に、こんな地震が起こるとは思いませんでした。

でも、事件の当事者なんて、みんなそんな感じなんだと思います。
だからって、急に意識は変えられなくとも。

それでも、世界は何処かで繋がっていて。
あなたの行動も生活も、世界の末端で。
笑顔にも、不幸にも、全て繋がっていて。
自分が生きていることと、何かを選ぶ事も、選ばない事も、
何処かに繋がっているし、繋がらない事も、選べます。

僕は、出来るだけ。選んでいきたいです。
自分が選んだ選択肢は、自分の未来を選ぶものだと思います。
常に人はジャッジメントを迫られている。
だからこそ、真摯に、判断すべきだと思います。

それは難しいかもしれないし、曖昧にしておきたい問題もあるかもしれない。
けど、出来るだけ「判断」していきたい。


報道写真を見て、感じることは、本当にひとそれぞれです。
僕は、そんなことを考えました。

良い写真を撮る事。
自分が良いと思えるものを創る事。
僕はそこを真摯に、頑張ってゆきます。


長くなってしまいました。笑
自分思考メモ的なものも多大に含んでしました(^^;)


ここまで読んで下さった方(いるかな?笑)ありがとうございます!




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