絵画展観覧記録@ミヒャエル・ボレマンス

ネコサツ!の前は美術館か展示を見にへ行くと決めているので、今回は品川にある原美術館へ。「ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ」を見てきました。全く初見の方でしたが、トピックスでチラリとみてとても気になる空気感を持つ作家だなぁと思って。
写真家から画家になった、というのも面白いなぁ。というのが見る前の印象。
「木蓮」が特に、見たいと思った。
 

入ってすぐに、一番目当ての「木蓮。」が大きく展示されていて。
当たり前だけど、丁寧に調湿された空間が、なんだかこの絵にすごく似合っていて不思議だった。
枯れた木蓮の背景には、アタリのような線画があちこちに飛び散っていて。
不安定の中の、掴めない何か、のような。でも、絵は完結して終ってしまっている。
少しだけ、透明な危うさに心がざわつく。

初期と後期では作風が少し異なるのだけれど、後記のしっとりした中の静かなる狂気と焦燥と諦めを恐れたような雰囲気がたまらなく好きだった。
写真や画面で見るよりも、ずっとずっと怖い絵で、とても良いと思う。
ニスのてらてらとした輝きが、あんなに美しいと思ったのは初めてだ。
 

目線の合わない絵画、というのが安心して見ていられた。
たぶん、この目線の合わなさが、ヴィルヘルム・ハンマースホイを思い出す。
ボレマンスはドイツの作家でスホイはデンマーク。
ちょっと枷が外れてしまうとゲルハルト・リヒターみたいになると思うけど。笑
静謐な中の決して壊れない内包された「正しい狂気」というのが、とにかく美しい。
スホイはブルーグレイの世界だったけど、ボレマンスはスモーキーなアンバーブラウン。
どちらもニュアンスカラーなのだけど、深みがあって、見ているとだんだん明度が落ちる錯覚を得ることがある。

今回、見ていて思い出した記憶がある。

美術研究所に通っていた頃、小学生の僕が油彩を初めて描いた時の事だ。
それまでの水彩の筆とは全く違う、硬くてゴワゴワした大きな筆。
オイルのどろっとした質感と、あの、におい。
カンバスに絵の具をつけたときの途惑いや、透明になった筆の跡。
植物など一切いないコンクリートのビルヂングの灰色の一室。蛍光灯の灯りの下で一心に石膏デッサンをする大人たち。
初めて研究所に行った日の事もずっと覚えている。6歳だった僕は、とても緊張しながら大人たちに囲まれて無言で林檎の絵を描いた。
子供が一切いない場所で(今思えばなぜ自分がそこにいたのかと…)無言で描く絵が、僕は好きだった。

ボレマンスの絵の筆跡を見ていると、自分の絵を見ているようで。(怖れ多いけどほんとに)
あの、冷たい蛍光灯の研究所を思い出す。
絵と写真は違うけれど、違わない人もいる。
 

何を、どう、表現したいのか。
主軸が自身にあり、明確な迷いを持って作品に対峙し、その結果として完成したものが在るか、否か。

原美術館のヘリンボーンの床のアンバー色が作品ととてもよく似合っていて素敵な空間になっていた。
出た時に、氷の粒のような雪が一瞬降っていたのがとても美しいと思った。


 
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