INPUT⇔OUTPUT

去年の秋から年末に向けて展示をいろいろ見たのですが、記す事が出来なかったのでまとめて3つ記載します。
全て終わっている展示なので、自分用に。忘れないように。

 
2014年11月14日〜28日
 

 
どうしても行きたくて、行きたくて、最終日閉幕5分前に滑り込んでなんとか見て来た展示。
この、金色の海のひとつひとつが、シチズンの時計の部品。
ものすごい圧巻。スパイラルホールを埋め尽くす、金の海。
 

 
青の海にしてみたくて、現像してみた写真。
金色だと眩しくて神々しいのに、青だと急に深海の泡みたいに見える不思議。

キャッチコピーというか、展示の思想がとても素敵で。
部品好きとしては一面がパーツで埋め尽くされている空間に立ってみたかった。
 
「時間は光であり、光は時間である」という言葉が、ものすごく残った。
写真を撮っていると「時間」というものを切に気にする。
そして、「光」というものを、もっと気にする。
その2つを、ここの「場」で表現していた。
 

 
青写真のように床に浮かびあがる設計図。
手書きのもので、日本語での書き込みもあってとても美しい。
一つ一つの部品が集まり大きな文字盤を動かし、針を動かし、光という名の「時」を刻む。
時間も、光も、目には見えない。
見えないからこそ、価値があり、表現することに意義がある。
 

ほんとうに大切なものはいつだって目に見えないんだ。って、星の王子さまが言ってたけど。
人の「思想」というものの純度を上げて、上げて、上げてゆくと、目に見える形にすることが出来る。
もしくは美しい旋律の音楽になったり、美味しい食事になったり、手に取れるものにもなる。

この、天皇陛下が使われている物と同じだという懐中時計が本当に美しく。
何億という部品の海の中で只一つの形になった、「時計」だった。
とても誇らしげで、真っ暗な会場の中で光そのものに、僕には見えた。

表現することの純度を上げてゆく大切さ、何を核とするかという問題提起。
光の海の中で、ただ失われるものである「時」を生み出す、時計という思想に触れた5分間でした。

 
2014年12月2日〜12月23日
 

会期がとても短く行けるかどうか…と思っていたのだけど、早起きしてオープンから30分だけ行ってきました。
エルメスというブランドが生み出す「革製品」にスポットを当てた展示です。
場所も美しく、上野の東京国立博物館 表慶館という素晴らしいスポット。
会場では触れるものも多く、撮影も勿論OK。
普段触れないとってもお高い革をさわさわしてきました。
 

ボンテージジャケット。ぴっちり、美しいライン。
クロコダイルだと思うのですが、こんなに大きな革って…と、元の大きさを想像。
仕立てはもちろんですが、なめしが美しいと思うのです。
クチュール仕立てのトルソーもあって、クラフト感満載。
 

染色した1枚革からどうパーツを切り出すかをLEDで転写するブース。
まぁ、びっくりしますが、中心部分しか使わないのですよね。そりゃそうだ。
端っこは安く売られているのだと思うけど。
革製品て本当に贅沢品。
 

ケリーバッグの職人さんが実際の作業を目の前でしてくれるのですが、それが本当に面白くて。
縫い合わせの具合とか、糸の始末とか、勉強になります。笑
いや、恐れ多すぎるのですが、、、カメラケースとか手縫いで自作したりするので。
とても丁寧で、早い仕上がりで見とれてしまいました。
 

そして、カラフルなエルメスオレンジのBOXが積み上げられたキャッチーな部屋を抜けると、真っ暗な空間に実物大のサイが。
しかもオーストリッチで作られたサイです。
オーストリッチとはダチョウの背中の皮のこと。すんごく希少な高級品です。
そして、サイは絶滅危惧種でありこれまた希少種。サイも革製品になりますが、現在は見ませんね。

この展示を見て、ものごく考え込んでしまいました。
たぶん、考えない人の方が少ないとても分かり易い展示だと思います。

なぜ、僕たちは生きているどうぶつを生きたまま剥いだ皮で作られたこの鞄を笑顔で持てるのだろう。
 

菜食主義者になろう!という動物愛護団体がキャベツを身体に巻いてデモをしたというニュースを見て。
桐島は牛の肉は駄目で、キャベツの葉はどうでもいいのか?と疑問に思いました。
それは、動物性タンパク質を摂る事で牛や馬が可哀想で、野菜は殺してもOKという理論と同じ。
自分以外の全ての命は「自分ではない他の命」であり、虫や目に見えない微生物も命であると思うのです。

じゃぁ、何をも殺せないし、歩く事さえ出来ないし、息をすることだって出来なくなってしまう。
動物だから、いい。とか、植物だから、いい。とかじゃなくて。
種別や種族で命の価値は量れないし、ましてや優劣も無いと思うのです。
 

自分が生きる為にたくさんの命を毎日奪っていること。
他者を殺し、自分が生き延びていること。
それは、胡麻かしようがない事実。
そして、そんなに毎日何かを殺して、自分自身を生かす価値があるのか?という。

これは、答えが出てて。
「価値はない」と考えています。そもそも命に比較すべき「価値」は無く、全ては生まれた瞬間から死に向かう事しか出来ないから。それに、どうこう、という理由が必要なのは人間だけ。
理由が無いと生きて行けないし、「君には価値があるよ」「自分は価値がある」と安心したいだけ。
 

でも、それだけだと他の命を奪い続けて生き長らえることの言い訳には少し足りなくて。
僕は、「価値がある」と思い込む事がどうしても出来ないから。

だから、自分が納得出来るだけの「命のお返し」をすることで、納得させているのだと思う。
この、植物の命を奪って生きるだけの生き方を自分はしているか。
この、動物を殺して生活道具にするだけの、生活をする意味があるのか。
 

革製品は美しいと思う。

それらを手にする時、綺麗なままの風呂の湯を抜く感覚に似ている。
僕しか入っていない、まだ十分に温かく綺麗なこの湯を捨てる、というあの時。
あぁ、もったいないな。と思うからこそ、この湯を「今日の自分はこの湯に入るだけの事をした」と思えるように。

革製品を手にする時、肉を食べる時、野菜を食べる時、何かを手にする時、
自分はこの命と対価を得るだけの事をしたんだ。と、胸を張って言えるように。

そうすることで重み、を置いて。
イヌイットがトナカイを食べて毛皮を得るように。
きちんと向き合って、いけたらいいな。と、改めて思ったのでした。

毛皮の乱用や安い革製品や漫然とした食肉は嫌いです。
だから、自分も漫然としないよう、きちんと生きること。

凄く色々考える美しく素晴らしい展示でした。

 
2014年10月30日〜2015年1月4日
 

友人に教えて貰って行って来た展示会。とても良いよ!と言われて期待して行ったのですが、想像以上に良かったです。
空間のレイアウトの仕方や階段の使い方、光の回し方がとても美しく、かなりな来場だったのにあまりごちゃついた感じがなく、落ち着いてみれました。
目の前に作品しかなく、人の流れが上手く分散されてたからだと思う。
このディール展の直前にティム=バートン展に行ったのだけど、作品がほとんどじっくり見れず、ベルトコンベアのように途切れなく送り続けられる人の流れに気分が悪くなった後なので、余計にそう感じたのもあるかも。
 

フリルのひとつひとつが美しくて、ため息の連続。
人間が着ていたらもっともっともっと、美しかったと思う。
洋服はマネキンが着ていてもまったく美しいと思わない。
だから、目の前のドレスよりも一緒に展示されている写真に目が行ってしまった。
 

ヴェルサイユ宮殿は金ぴかすぎて、あまり興味が湧かなかったのだけど。
この写真とドレスを見て、行ってみたくなった。
金色、の解釈がシチズンとまた違ってとても良かった。
美、という概念の具現化だったり、研ぎすました沢山の思念の頂点の色彩だったりして。
 

対照的に、真っ暗な空間のブラックドレスもとても素敵で。
光を反射しないシックな質感だったり、光を柔らかに変化させるラインだったり。
布、というもので美しさを追求することは、孤独な作業なんだと思った。
 

こちらは香水瓶の封詰めの過程の実演。動物の腸を使った紐で縛っていくのだけど。
なんとも実験室ちっくな空間が美しくて。
背景の白いマネキンとドレスも映像のようにマッチしていました。

エルメスの職人さんがDQの武器屋のオヤジみたいだったのに対してこちらは、サイエンティスト風なお姉さま。
白衣が美しく、職人の手先の動きというのはずっと眺めていたくなる無駄のなさ。
譜面を書いているような滑らかさでした。
 

1950年代のコレクションの映像(モノクロ!)や当時の髪型など。
とても美しく。うっとり眺めてしまったのですが。
やはり、昔の「クチュール」とは特権階級の人間のモノであり、一般庶民が見るものではないし、まして手にするものではない。といった感じ。その気高さが「美」なのだと感じました。

誇らしくドレスを着て、ヴェルサイユ宮殿に凛と立つモデルさんたちの目線と視線が印象的で。
そこに立つだけの努力は勿論、立つ自覚が、全身からみなぎっていて。

それを見て、あぁ、本物は美しいなぁ。と。思ったのでした。

ラビリンスみたいな、会場もとても美しく、漆黒の床は靴の音が綺麗に響いて。
夢の中を旅しているような気分でした。
誰もいない時に行ったら、本当に夢の世界みたいだろうな。

年末に、とても良い展示をいくつも見れて、幸せでした。
僕にINPUTしたこの、美しいものたちを、僕はどうすべきか。
きちんと考えて、きちんとOUTPUTゆこうと思います。

 

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