フランク・ロイド・ライトと見た夢@月子

静かで温かな音階が聴こえそうな春の日。

 

初めて撮影させて頂く被写体の方と、名古屋で待ち合わせ。
ずっと行ってみたかった明治村にロケで行って来ました。
 

綴る指先。音が途切れそうで途切れない。
たぶん、フルートを奏でるという、月子さんのお話しを聞いたからかもしれない。
柔らかくたおやかな金属。
 

ふと、途切れる音。

それでも、止まらない思考。

月子さんは被写体募集に応募下さった被写体さん。
初めて撮影させて頂く場所を明治村に決めたのは月子さんが建築好きで、建築に関わるお仕事をされていたからです。
単純に好き、ではなく、自分の進む道になったまでの好きな建築家というのが、この明治村にある帝国ホテルを作ったフランク・ロイド・ライト。
 

被写体さんへはたくさんの質問をさせて頂き、その人の思考や生き方を少しだけお伺いします。
その中で桐島が表現出来るものは何だろう?と考えます。
ずっと一緒に過ごしている人ならそれが分かりますが。初めてきちんとお会いした時にそれが明確になるよう。
たくさんの事をお伺いします。
 

月子さんの持つ優しさや芯の強さや思慮深さ、そしてお会い時に感じた心遣いの細かさ。
それらを包括した時にふと現れるひとりだけの個としての自分。どれもがとても品性を持ってひとつひとつ佇んでいる感じでした。
 

初めて行く場所で初めてきちんとお会いする方なのに、ずっと前から知ってるような錯覚。
既視感のような感覚になるのは、ファインダーの中だから。

この柔らかな陽射しにすっと馴染む、その人柄が、絵になります。
 

折しも季節は春。
出会いと別れの季節。決断と後悔の季節でもあります。

春は苦手な桐島ですが、桜が満開でとにかく美しく。
園内はあちこちに桜の樹がいました。
枝垂れ桜の濃いピンクがとても良く似合う。

月子さんは持っていらっしゃる雰囲気はとても柔らかなのに、写真の中に入るととても凛とします。
目線や気配さえ変わって見える。
でも、変わっているのではなく、その人自身の本質の一部が見えているのだと思います。
 

明治村はとっても広く、洋館を中心に絞って巡ったのですが、ゆっくり休憩する時間もとれないくらいに広かったです(^^;)
月子さんのテキパキとした手際の良さと明るい笑顔にすっごく助けられました。

そして、明治村の一番奥地。
遠目にも分かるその場所があります。

フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテルです。
 


エントランスから重厚感が漂って来ます。
知識や画像では知っていましたが、実際に見るとなると本当にびっくりしました。
建物自身が意思を持っているかのように、その場にいるものに空気を「押し付けて」くるようで。
低い天井や素地のままの天然の石が、まるで岸壁のような雰囲気を出しているのです。
 

そして、重圧感のある天井の低い入り口を抜けて中に入るともっと暗くて本当にびっくり。
エントランスホールに出ると天井が開けるのですが、その暗さと重さにまたびっくりします。

月子さんによれば、実際のホテルとして機能している時はもっと暗かったのだそうです。
昼間なのに、夜のような室内に、土と岩で出来た細かい細工の空間。その中に自然光がレンブランド光のように注ぎます。
 

この写真の中には3Fまでのフロアが写っています。
それぞれのフロアの光の種類の違いが分かりますでしょうか。
この異なった光が同じ空間に存在する美しさこそがロイド建築の魅力なんです、と語ってくれました。
 

このライトも彼の設計で、と丁寧に教えてくれる月子さん。
まるで、ロイドの恋人のように見えます。

このホテルを設計した時、ロイドは人生の底を彷徨うような精神状態であったと思います。
彼の人生やこの時期は決して晴れやかな物ではなかったと思いますが、その凄まじい精神を建築として残す事が出来るという才能は、やはり素晴らしいと思うのです。

どこにも逃げられない、でも、逃げたくないのは自分かもしれない。
この、重苦しさの中に美しさを見いだそう。仄暗いこの場所と向き合うことこそが、光を見いだす行為でもある。

ロイド自身がそう言っているような錯覚を覚えます。
 

ここは中二階のような不思議な空間。
明るいけれど格子に囲まれた小さな部屋。でも、とても落ち着く場所です。

この建築は、どの階に居ても他の階が見える作りになっています。
どこか繋がりを求めている、でも干渉出来ないような。
 

ひとぼっちになってしまったロイドは何を想ったでしょう。
煉瓦のひとつまで込められてた北欧神話のような緻密なレリーフたちをみながら桐島も考えました。

月子さんがまるでロイド建築の一部になったかのように違和感なく、その場に佇む姿が本当に美しかったです。
 

桜と教会。日本的なのに、どこかお伽噺のようで不思議な景色。

人の記憶や感情に訴えるものはフィクションからは生まれない。
結局はその人自身の中から零れ落ちたものであったり、吐き出したものでしか無いのだと。

美しさも悲しさも憎しみも愛情も、心が動くからこそ。
その動きを、表現したいのだと。改めて思いました。
 
月子さん、素敵な被写体とストーリーテラーをありがとうございました!!


 

 

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