そのひそやかな花を。@蒼

初めて撮影させて頂く被写体さま、続きます。

桜の明治村月子さんに続き、蒼さんを撮影させて頂きました。
募集tweetを本当に偶然発見して頂けたようで。。。ありがとうございます!
 

蒼さんを撮らせて頂きたい、とお願いした時に決めた事がひとつあって。
その魅力を引き出すのではなく、寄り添うようにいたいな、と思ったのでした。

蒼さんにお会いして改めて感じたのですが、その可憐な容姿と共に持つ雰囲気が本当に柔らかく儚げで。
弱い、というのは違います。繊細、に近いかも。
 

にっこり、嬉しいときの笑顔が花が咲いたかのようにふわっと柔らかく、微笑ましいのが印象的でした。
だからこそ、カメラに向かった時にふと見せる表情の無い顔の、一瞬がとてもひっかかって。

たぶん、「笑ってください」「カメラを見てください」と言えばそうしてくれるでしょう。

初めて被写体をする、という事で、とても緊張されていたとも思うのですが(そういった可愛いらしい写真も多くあったのですが今回は素の表情のみを掲載しました)その距離感とは違う、自分自身の中にある繭というか、核のようなものを見てしまった気がして。

たぶん、カメラを向けて被写体さんとしてお話しをさせて頂かなかったらこの写真は撮らなかったと思います。
日だまりの花畑のような、ふんわりした、お嬢さんだなぁ、と言うのが第一印象でした。
 

たぶん、蒼さんのお友達の多くがそういった印象を得るのではないでしょうか。
それが間違っているとか、作っているとか、そういうんじゃなくて。
その一面も蒼さんそのものだと思うのですが。桐島が感じた一面は、冷たく重く、鮮やかな世界でした。
 

普段からロリィタ服を着ていらっしゃるという蒼さん。好きなブランドをお伺いした時に「ピンクハウス」が入っていて。
あぁ、とても強い方なんだな、と思いました。
今流行っているゴスロリとかロリータなどのジャンルとは、ちがう、そのブランドだけが持つ世界。
ピンクハウスが好きな人は、そのブランドを選んだ理由がきちんとあって。
よほどの事がなければ、着ないと思います。その強さが、僕はとても好きで、ピンクハウスを着る女性がとても好きです。
 

俯いた視線の先に、桐島はいません。
この写真の中に「撮影者」という意識が抜けています。蒼さんが蒼さんの中で完結している写真。

ポートレート、という写真を桐島が撮影する事はあまりないと思います。
一般的にカメラを見て女性が微笑んでいるバッチリ決まった写真が得意ではないからです。
そこにあるのは自分自身への賞賛というか、決まった構図をカメラマンが撮影する余裕と挑戦的な意識。
そういったポートレートを撮影する楽しみ、という世界は別にあると思うのですが、桐島はそれを楽しむ事が出来ません。
 

蒼さんがぽつりと言ったひとことがとても印象的で。

「桐島さんは、「自信」が、ありますか。」

何について、ではなく漠然と聞かれた気がしたので、全体的な意味で答えました。

「僕は、「自信」があった事はありませんよ」
 

蒼さんは、かなりびっくりした顔をしていました。
たぶん、桐島は自信が在る人に見えたのでしょう。

自信があった事など、無いです。
 

人に何かを教えるという仕事をしている以上、相手に安心感を与える必要や、自分の心の余裕を見せる事、相手を受け止める事は必要だと思います。
それがきっと「自信があるように見える」ことなんだと思います。
不安そうな人には何も任せられないし、失敗しそうな人には頼めませんから。
それらの事は自分がしなくてはいけない事で、頑張っているのでも無理をしているのでもありません。
それが出来る人でいたいと思うし、そうではないと自分の言葉を信じてくれる人に申し訳がないと思うからです。
でも、だから「自信がある」、というのは別です。
 

自分を肯定する事が出来るのは自分だけだし、自分の未来は自分しか切り開けないと思っているから。
せめて自分が出来る事くらいは毎日やりたいし、やらなかった事が結果に出て後悔だけはしたくない。
出来るだけ、必要な事はきちんと片付けていきたいし、その動力になるのは不安と焦燥です。
それらを全てこなしたかといって、安心と満足にはならない。
でも、少しだけ、諦めることが出来ます。
 

もう、いいや。自分は、やるだけやったのだから、誰からどう思われてもこれが自分なんだ。って。
そうやって諦める事が出来る。そしたら、次に進める気がする。

だから、毎日不安と焦燥に追われながら、生きるしか出来ない。
そうする事でしか作品を創る事が出来ないし、安心して満足してしまったら何も生み出されなくなってしまうと思う。
 

蒼さんが持つ、心の揺らぎ。
その繊細な天秤のほんの少しの揺らぎの一遍を、そのまま写真の中に焼き付けたい。

ただ、そこに存在するそれだけのまっすぐな気持ちと、心だけを。
脚色せず、誇張せず、
僕はただ、受け止めて投影したいと思うのです。

自信を持つ必要なんかないと思います。
でも、自分を誰かと比較したり卑下することは、全く無意味であると思います。
 

自分が心から大切にしているもの、自分を大切にしてくれていた人の気持ち。
そういったもので自分自身が作られていくから。
そのまま、花のように、美しく存在していてくれたら、いいんじゃないかと思うのです。

蒼さん、撮影させて頂き、ありがとうございました!
次の季節でもまた撮影させて頂ける事を心より楽しみにしています。




 

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