Alexander McQueen was NIGHTMARE. in LONDON

6月に、1週間ほどロンドンに行ってました。
目的はAlexander McQueenの展示会。Victoria and Albert Museumで開催中の「Savage Beauty」を見るため。
Alexander McQueenは僕が世界で一番好きなブランドでした。
ファッションにとても興味があった90年代にパリコレを見るのにハマっていて。当時ネット上でパリコレ画像を全て即日に見る事が出来るデータベース的なサイトがあって。期間中、真夜中にそのサイトが更新されるのをとっても楽しみにしていたのを思い出します。
 
以下文章は自分用のまとめでもあります。写真はロンドンスナップなので本文とは無関係です。
写真だけさらっと見た方が面白いかもです(^^;)

 

 
この展示はMcQueen氏が亡くなった数年後にNYで開催されたもののロンドン巡回版。
NY開催の時は行きたかったけど、行かなかった。
展示会に「行かない」理由はひとつ。どんな理由をつけたって、展示を見に行くという以上に行かない理由があるから、しかない。
大好きな作家でも行かない理由は「遠いから」。それだけだったけど。
それでも今回ロンドン開催を知って、航空券を手配する前にチケットをオンラインで手に入れたのはMcQueenが生まれ、育った土地での開催だったからというのと、NY開催時に加えて未発表だった80点の展示が追加公開されると聞いたから。

 

McQueenに惹かれたのはロンドンコレクション参加分から。ちょこちょこ見てたけどGIVENCHYのデザイナーに抜擢された辺りから注目されてきて。
Spring/Summer 1999, "No. 13"」 のスプレードレスに衝撃を受けて。なんだかPOPなふりしてるけど、すっごく怖い世界だ。と思った。
彼の作り上げる世界は何でこんなに引っ掛かるんだろう。と、思って。
当時好きだったJean Paul GaultierやVivienne Westwoodのモードやパンクな雰囲気が好きで見始めたパリコレ、ロンドンコレクションだけど。McQueenが引っ掛かりすぎて、頭の中にずっとしこりのように残ったまま数年が過ぎ。
でも、勿論買えるような値段でもないし、日本での取り扱いも無かったので画面越しにシーズンコレクションをずっとずっと楽しみにしてるだけで、美術品を鑑賞するようにただ、舞台を待っていた。
 

人の心を奪うものは何だって同じ深度で入り込んでくるけれど。
逃げ場の無い恐怖はいつの間にか、どこまでもどこまでも深く、深く、しみ込んでいつの間にか自分の一部になっている。
子供の頃からみ続けた同じ夢の、同じ恐怖。
でも、形があるわけでもなく説明出来るわけでもなく、分かって欲しいのでもなく、助けて欲しいのでもなく。
ただ、それが「恐怖である」というだけの「夢」だった。

McQueenの世界は、彼が見た悪夢から始まり、悪夢で終わった。
spring/summer 2001,VOSS」のコレクションのあるドレスを見た時に。目が離せなくなって、言葉に出来ない「あの恐怖」を「服」にしてる人がこの世の中にいるんだろう?とびっくりした。
自惚れとも思わないくらいに、なんでこの人は自分と同じ夢を見ているんだろう?と思った。
ランウェイの映像よりも静止画の写真の方が恐怖だった。目が、本当に離せなくなって。
 

子供の頃、恐怖でしかなかった「夢」は大人になるにつれ「日常」になり、恐怖に慣れたつもりになって。
「夢」を理解しようとしていた。
恐怖が恐怖でなくなったわけではなく、ただ、その繰り返される世界から逃げれないのなら、それが何なのか、見てみようと思っただけ。
なぜ、怖いのか。なぜ、恐ろしいのか。なぜ、この夢が繰り返されるのか。
 

恐怖は美しさでもあると、思う。
病的なまでの秩序や制約が「命」には本来あって、それを間違えてしまったら存在出来ないような決まり事がいくつもあって。
それはAlexander McQueenの服作りにも生きていて、計算し尽くしてもう出来ない、って言えそうなまでに美しいカッティングに縫製。
McQueenは基本となるテーラードを極め、伝統を守り抜いた上で、壊して作品を、世界を作り上げている表現者であると思う。
 

 
日常の中にこそ、決まりがあり。当然の「セオリー」や「約束ごと」はいくつもあって。
それらを踏まえて、理解して、使いこなせなければ、その枠をやぶる事は出来ない。

歌舞伎役者さんが「型破りが出来る人は型を知っている人です。知らないのに型を破る人は、ただの型無しです」と言っていたのを思い出した。
昔から続いているものや、決まり事には意味があって、まずそれらを知って、理解して、実践出来るかどうか。
基本から応用まで知り尽くした上で、それらを越える事が出来るかどうか?というのは「新しいこと」なんだと思う。

なんとなく、思いつきで基本も知らないけど、やってみちゃいました。というのは、違うと思う。
Alexander McQueenの展示を見て、パっと見はパンクだったりゴシックだったり、服かどうかも分からないものもあったりするけど、基本は伝統的なテーラードがあってこそ。
それは、展示を見て、切に感じました。

 

会場でのBGMで最も心を奪われたのは「Sarabande」。
向かい合うように対峙する現在と過去。統べるのは赤の女王。
重苦しい短調の音楽に緋色とMcQueenタータンのドレスがひときわ映えていました。

年代が違っても、表現方法やテーマとする趣旨が変わっても。
彼が突き詰めたのは結局「あの夢」に積もった澱の手触り。
 

LEE McQueen。もう、あの夢は怖くないよ。
あなたの夢が一番美しくて一番怖いから、もう大丈夫。

美しい世界を、本当にありがとう。
あなたが見せてくれた数年間、リアルタイムで見れた事が本当に奇跡のようです。

そして、あなたが生まれた地であなたの作り上げた世界を見る事が出来て、光栄でした。
2001年のコレクションを見て居なかったら、あの場には行っていなかったと思います。
Savage Beauty」。残酷な事と、まっすぐな事はとても良く似ている。

美しさというのは、厳しさであり、鋭さを失わないことである、と思いました。

ロンドン写真はもうちょっとあるので、別途掲載します。
お付き合いありがとうございました。


 

 

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