バロセロナ建築散策@モンタネール建築と大聖堂

 

サクラダファミリアから歩いてちょっとの所にある世界遺産。サン・パウ病院。

元、病院と聞いて耳と目を疑うのだけど、どういう人が作ったのか知ってちょっと納得した。
ガウディを調べていると度々出てくるドメネク・モンタネールという建築家(Lluís Domènech i Montanerと書くのでムンタネーと読む事もあるらしい)。

 

 

この人はガウディのライバル!と紹介されることが多いけど、その時の社会的にはモンタネール氏のほうが全然格式が上で、頑張ってガウディを貶めていたような感じ。
ちょっと人聞きが悪いけど。

 

モンタネールは「花の建築家」と言われていて、細やかなタイル細工を使って花の装飾をする事で有名。
そして、とっても「貴族的」な雰囲気。ヨーロッパっぽいと言うのか、ちょっとフランスの香りがする。

 

 

続きの間の天井。
キツイ色合いではないけど、ピンク。
どこもかしこもとってもカラフルでこれでもか!と装飾している。
それがまた可愛いらしくて品がある色彩で、絵になるんだけど…。ここ、2009年まで診療が行われていたそうで…。

 

 

元、病棟。
ここにずらーっとベッドが並んでいたかと思うとちょっとなぁ。
確かに色彩は綺麗だし「病院という建物は殺風景で気が滅入るから患者さんが楽しい気分になるようなものを作った!」と言う気持ちに嘘はないんだろうけどね。だけどね。

 

 

これ、手術棟。天使がいます。
…あー…お迎えが見えちゃってる〜。とか思ってしまいそう…と言う感想の日本人。
なんかね、すんごく素敵なんですけど、入院したくない…。。。

 

 

晴れたり小雨が降ったり天気が忙しい!
30分くらいでこんなに色彩が変わってしまいました。
さらにカラフルに見えるなぁ。

 

一棟だけじゃなくて小さな町のようにこんな感じのカラフルな建物がずらーーっと並んでいるのです。

 

 

自分らは診療にきたわけじゃないから楽しめるけど、これが重大な病気とか、怪我とかで来たらさ。
「あぁ、自分はもうここから出られないんじゃないか…」って隔離された感があるんです。
雰囲気的にディズニーランドとかユニバとか、そういう非現実な空間に思えてしまう。

 

 

綺麗なんだけどね。楽しいんだけどね。

 

単なる風邪やちょっとした骨折とかじゃなくて、死の淵が見えている人がうつろに見える世界がこれだとしたら、ちょっと怖いなぁ。と思ったのです。

 

 

雲の流れで影になって真っ暗になった天使。

 

毎日がきらきらで美しく見えている人って、少なくて。
こういう風に見えている事のほうが多いんじゃないかと思って。自分がそうだから、そう思うのかもしれないけど。
病気の時に美しいものをみて元気になる余裕がある人は、一部なんじゃないかな、とか。
ちょっと「強者」の目線、を感じたのでした。これはイギリスの大英博物館でも感じたこと。

 

 

もういっこ、モンタネール作品。世界遺産です。
ツアーでないと内部に入れないので英語のツアーを予約してグループで回りました。カタルーニャ音楽堂。
バルセロナ音楽堂ではないのかと思って、今回のカタルーニャ騒動を思い出した場所。

 

 

とってもとっても美しくて、柔らかい色彩なのだけど、空間の重さと密度がすごい場所でした。
怖いとか圧迫感とかではなくて、隙間がないほどの「意識」で埋め尽くされた空間。。。

 

 

ガウディのそれとは全く違うものを感じました。
桐島はもう、ガウディ贔屓なのですみません(笑)好きなので。それ前提で読んでください。

 

モンタネール氏は「上流階級の目」を持っていて、上流階級の人向けのものを作る人なんだな、と感じました。
これは、庶民のものではない。そう突きつけられています。
今は宮殿でもお城でも観光で入れるけど元々は庶民には縁も所縁もない場所で。そういう場所に入るとものすごいアウェイ感があるんですよね。感動と共に。

 

 

よくパンフレットで見るここは本当にすごかったです。
ここで上がって、降ってくる音楽は聞いてみたい。奥にパイプオルガンがあります。

 

 

ちょっと上から見るとわかりやすいのですが天井のステンドグラスが立体になっていて、また美しいのです。
このホール自体が完璧な音響効果になっていて、ステンドグラスの1枚をクリスタルではなく修理のためにイミテーションにしたら音が狂ってしまったそうで。。。
今でもほぼメンテナンスなしでこの音楽堂は完璧な音を広げてくれているそうです。

 

 

ガウディの弟子の人が「ガウディではここまでのものは作れなかった。さすがモンタネールです」と言っているし、確かにすごい空間なのはわかりますし、感動しました。
ガウディの作品に出会わなかったらそうは思わなかったのかもしれないけど、この人の建築は「上流階級の人が心地よく過ごすためのもの」として作っているのだなと。感じた。

 

 

とにかく美しくて、豪華。
それだけがこの空間を支配している感じ。
バロック建築とか、そんな感じなんだけど。その美しさは大好きだったはず。
この、少しの違和感はなんだろう?と思ったのですが。

 

 

何かを作る時にはその「モノ」に対峙して作ります。それはどんなものでも同じ作業だと思う。
その対峙するもの、要するに向き合うべきもの。というのが、モンタネールは美意識だったり上流階級の華やかな人たち、それを望んでいる自分自身だったのかな、と思うのです。

 

病院の建築もそうなのですが、この人は暗くて寒くて怖くて一人で震えた事がない人なのかな、と。
誰も助けてくれなくて、泣いても何もならなくて。
疲れて、涙も出なくなって、一人で立ち上がって進んでみるしかなかったことが。ない人だったのかもしれない、と思いました。

 

 

モンタネールはガウディが出た建築大学の校長先生をしたり、公共建築やオリンピック関連の仕事を多くしています。
今でいうゼネコン系のデザイナーさんだったわけで。だから、とにかく明るく「力がある人」にウケるものを作っている。だって承認してお金を出すのが「力がある人だから」。
自分自身も力がある人になっていき、彼は政治家も経験しています。

 

 

ガウディは名前が売れてきても公共事業の類は街灯デザイン1本のみでやらせて貰えませんでした。建築のコンクールや賞も全く受賞していません。
認めてくれるのはパトロンであるグエル氏のみ。
何処からか仕事の話が出てきてもいつの間にか流れてしまったり、モンタネール組が手がける事になってしまっていたようです。

 

建築家というのは施工主がいなくては仕事が出来ないし、自分の作りたいものだけを作っていいわけではない。
もちろんガウディも自分の作りたいものを作っていたわけではないのですが、「自分の解釈で」相手の要望に全力で応えようとしていた人なのだと思います。
相手が喜ぶために相手を主軸にするのではなく、喜んで貰えるような自分自身の答えを探していくやり方なのかな、と。

 

モンタネール氏の建築をみて、ガウディの考え方の理解が深まった気がします。
とても美しく、どこを切り取っても素敵な空間でした。

 

 

最後はバルセロナ大聖堂。カテドラルです。
大聖堂と教会、の違いは。教会はいくつでも立てて良いけど大聖堂は街にひとつだけということ。
その街の教会を統べる一番大きな力を持つ教会が大聖堂。
町内会長さんみたいなものだね〜。と話したら急にありがたみが無くなりました…。。。

 

でも、この大聖堂には絶対来たかったんですよね。

 

 

内部の作りは古典的な大聖堂です。少し質素な感じはするけど。煉瓦で出来た、たかーい天井。
コウモリみたいなアーチが、ものすごく高い。

 

 

この場所はサンタエウラリア大聖堂と言う名前で、サンタエウラリアというのは実在した13歳の少女。
ローマ帝国がバルセロナに侵攻してきた際に、ローマ人はカタルーニャ人にキリスト教を捨てろと命令します(当時のローマ帝国ではキリスト教を禁止してました)
拷問や処刑を受けるのでカタルーニャ人は次々にキリスト教を棄教するのですが、サンタエウラリアだけは13の拷問(書きませんが教会内に残っている壁画を見るだけで痛い…)のち斬首されてもキリスト教を捨てませんでした。

 

 

小さな少女が、殺されても捨てなかった宗教心。
なぜ、そんなに強くその宗教を思えるのか。なんで捨てなかったんだろう。
自分には理解できませんが、バルセロナの市民は彼女を悼み、聖人として祀りこの大聖堂を建て、バルセロナの守護聖人になりました。
写真はエウラリア嬢が眠る石の棺です。

 

 

きっと神様の近くにいけて、聖人になれた彼女はとても嬉しいでしょう。
悔いなどないだろうし、死してなお皆に愛され、聖人としてバルセロナを守っています。

 

もちろん昔のことだし、創作も入っているとは思いますが、他の大聖堂でこんな小さな普通の少女が聖人になって大聖堂に祀られていることは聞きません。
(セビリア大聖堂なんかイスラムモスクよりもでかい大聖堂を建てちゃる!っていう目的で南米人を虐殺して金を数トン持ち込んで作った教会ですもんね)

 

 

そんなことを考えつつ、サンタエウラリア嬢のことを思いながら大聖堂を歩いていると、マリアさまや聖人たちにリボンがついているのに気付きました。
あっちこっちにあります。
写真には写していませんが、これらの像は鉄格子越しにあるので、もちろん触れるわけではないです。
でも、リボンがマリアさまの左小指につながっていて、そのリボンをあなたは触ることができますよ、と書いてありました。
なんか、いいな。って。気持ちが暖かくなりました。ほんとに。

 

 

大聖堂を出ると中庭に噴水があってお庭があって、ガチョウがいます。
エウラリア嬢がガチョウを飼っていたそうで。彼女が寂しくないようにガチョウがいます。

 

 

溢れる木漏れ日と、水の音とブーツが踏む石畳の音。
捧げられたろうそくの炎が揺らめいているのを見て、とても落ち着きます。

 

 

大聖堂ってすごいけど、ちょっと怖かった。
でも、ここはとても綺麗な空気で、悲しいけど寂しくなくて。
人がたくさんいて、鳥もいて。 良い場所です。

 

ガウディのお葬式をやったのもここだと聞いて、うらやましくなりました。

 

なんでか、サンタエウラリア嬢の顔を見て思い出した人がいます。なんか、ね。

 

次はサグラダファミリアです。

 

 


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